発達障がい者向けのTRPG(アリアンロッド2E)に参加してみた

【読了時間(想定):5分程度】
初めまして、2eaグループのイリオモテです。2018/2/3(日)に、渋谷某所にて実施されたTRPG(テーブルトークRPG)に参加してきましたので、その様子をご紹介します。

<本記事の主な対象(想定)>
・TRPGに興味があるけど、プレイしたことはないので雰囲気を知りたい方
・架空の人物になりきるのが好きな方
・発達障がいに関連性をお持ちの方

【目次】
1 お世話になった方々(発達障がい者向けアナログゲームサークル「Magical Staff」様)

2 概要:TRPG(テーブルトークRPG)とはどのようなゲームなのか?
3 実際のプレイ履歴(一部抜粋)
4 初めてプレイしてみた感想

1 お世話になった方々(発達障がい者向けアナログゲームサークル「Magical Staff」様)
今回のTRPGの主催者は、(一社)共生社会研究センターにおける「発達障がい者向けアナログゲームサークル Magical Staff」さんです!代表の米山様は「アナログゲームが好きでこのサークルを始めた」とのことです。今後も、定期的にTRPGの会を実施していくとのことです。ご興味のある方は是非ご参加ください!


2 概要:TRPG(テーブルトークRPG)とはどのようなゲームなのか?
RPG(ロールプレイングゲーム)といわれると、ドラクエやクロノトリガー、ファイナルファンタジー等の超有名テレビゲームを想起する方が多いと思います。TRPGとは「テーブルRPG」というような意味ですが、その内容を非常に大雑把に言うと、「TVのRPGゲームと同じようなシナリオ及び登場人物をテレビ等のデジタル機器を使わず、紙・ペン・サイコロ及び想像力(妄想力)をフル活用して作成し、遊んでしまおう」というものです。

ただ、参加者に共通のルールなくシナリオを作成するためには大変な労力が必要となるので、最低限のシナリオ(どんな世界観で、どんな町やダンジョンが存在しているか)は「ルールブック」として市販されています。市販されているルールブックははいくつか種類がありますが、今回はTRPGのスタンダードかつ王道という立ち位置の「アリアンロッド2E」を使いました。

2 実際のプレイ履歴(一部抜粋)
【参加者構成】
・プレイヤー4名、GM(ゲームマスター)1名
<プレイヤーがすること>
プレイヤーは架空のキャラクターになりきり、ダンジョンの制覇を目指します。
今回はラスボスである「竜」を倒し、待ちに帰還した段階でゲームクリアとなりました。

<GMがすること>
GMはかなりタスクをこなす必要がありますが、自分が場を主導しながらゲームの世界観を構築することができるため、特有の楽しさがあるようです。
1.シナリオの作成、プレイヤーへのシナリオ伝達、進行司会
(例:プレイヤーに向けて「あなたは○○という町で生まれ育ち、金銭を稼げる歳になりそれぞれギルドに所属しています。ある日、△△というダンジョンのうわさが聞こえてきました…」と口頭で伝達する等)
2.突拍子もない無茶振りをプレイヤーから振られたときの対応
(例:通常の戦士ならばダンジョンのうわさが聞こえてきたら「行ってみよう」となるが、「おなかすいたからダンジョン行かずに肉狩りに行くわ」となる戦士(プレイヤー)も割と高確率で発生する。その無茶振り対応をするのもGMの役割となる。要するに、シナリオをその場で練り上げるタスクが発生する。)
3.戦闘シーンの進行司会

【ゲーム内容】
今回は、大まかに以下の三段階から構成されていました。
1.キャラクターメイキング
2ダンジョンの前調べ
3.ダンジョン探索

<1.キャラクターメイキング>
プレイヤーは各々にキャラクターメイキングを行います。
RPGで言うところのキャラクターメイキングと同様ですが、それを1から自分で決定することが出来ます。決定すべき主な内容は以下の通り。色々あるので1時間以上はかかりました。

・名前
・容姿(髪の色、目の色等)
・初期パラメータ(攻撃、防御、物防、魔防等)
・特殊判定パラメータ(トラップ探知/回避能力、危険感知能力、エネミー識別能力等)
・特有スキル(戦士なら高攻撃力の「スラッシュブロウ」、仲間をかばう「カバームーブ」等)
・携帯品(ベルトポーチ、野営道具、毒けし等のスタンダードな道具に加え、「香水」「なわ」等の効果がよくわからないものまで)

個人的には、このキャラクターメイキングに入り込めるかどうかがTRPGにはまりこめるかどうかを左右する試金石といっても良いと思います。

・このゲームはサムいと感じるか否か
自分が、いい年齢した大人たちが卓上で妄想を爆発させるという環境に対して「サムい」という感想を抱くのか、それとも妄想を爆発させる側に入り込めるかどうかがキャラクターメイキングの段階で恐らくある程度ハッキリと分かります。

これはコスプレイヤーをする側のオタクか敬遠する側のオタクかというトピックにも通じるところがあると思いますが、自分を客観視するくせがついており、かつ妄想に興味がうすい人には苦行となります。

一方で、
・どちらかというと祭りやフェスは見るよりも参加する側
・妄想するのが好き
・自分でない人間になりきりたいという欲望を持っている
人にとっては楽しいゲームになると思います。オタクのほうが強いのですよ。私は雨の日に山の地面で静かに息巻いている菌類のようなクソオタクなので楽しかった。

ちなみに、2eaグループのメンバーであるパンダの妄想力の豊かさは他のプレイヤーの追随を許さず、非常にパンチがきいた殺人キラーパンダを製造していた。(スラム街で生まれ育ち、学校では生徒全員に対して「ねこになる魔法をかけた」挙句、国中から「国民が全員ネコアレルギーであることをわかっていて、優しくないことをしやがって、あいつを殺せ」と言われ追われている殺人キラーパンダというような設定だった)

<2.ダンジョンの前調べ・準備>
各プレイヤーが協力してダンジョンの前調べや準備をします。これは、プレイヤーが口頭で「○○をする」と言うとGMがそれに応じた設定を述べるという方式で進んでいきます。(例:プレイヤーが「道具屋でハンマーを買いたいので道具屋に行きます」とGMに言う⇒GMは「わかりました」と言った後、道具屋になりきり「いらっしゃい、何か御用ですか?」と述べる、という様子で進んでいく)

ここでプレイヤー4名のうち3名がダンジョンに関する前調べも準備もせず、「ダンジョン周りでうさぎを狩り、のそのそと食べ、そして寝る」という暴挙に走り出したのでちょっとエンディングがはるか遠くに行きかけましたが、残り1名のたくましい修道士さんのおかげで無事にダンジョンに入ることが出来ました。ありがとうございます。

<ダンジョン探索>
前調べが終わった段階でダンジョンに突入します。前調べがなくても良いですが、恐らくそれだとすぐに死んでゲームオーバーになるようでした。ダンジョン内には宝箱やそれを守るトラップなどがあり、プレイヤーはトラップをよける知恵を絞りながら探索をしていきます。トラップのかわりにモンスターが配置されている事もあり、その場合は戦闘になります。戦闘の説明は面倒なので割愛しますが、RPGよりもHPやMPの減り方が渋くちょっとつらいことがよくあったので修道士(ヒーラー)の方がいなければ道中で詰むこと間違いなし、よってアリアンロッドではヒーラーを絶対に死なせないようにしながら進むのがかぎかと思います。
ダンジョン探索が中盤まできたところで、キャラメイキングから始まって時間はすでに5時間ほど経過し、各々集中力が切れかけていたところで、GMの方が局所的に難易度をがーんと下げてくれたりノリツッコミの嵐を巻き起こしてくれたりして非常にありがたかったです。

3.初めてプレイしてみた感想

・体力が要るゲームである
総プレイ時間が5~6時間程度と言うことで、1日がかりになります。
1日がかりでコミュニケーションをとり続けるので、確かに対人会話の訓練にはなりそうです。
あとは、「仮想の自分」を通してコミュニケーションをとることができるので、精神的にちょっと仮面を被っているみたいな感じで、自分の地をさらけだすよりも少し安心することが出来ますね。

・何やってもいいので楽しい
妄想の赴くままに、基本的に何をやっても「場外」がないゲームです。例えば急に野原に飛び出して花火をおっぱじめるのもあり、街のねーちゃんをナンパするのもあり、宇宙に飛び立つためにロケットの設営を始めるのもありです。GMの人を面食らわして対応を待ち面白がるという悪趣味な遊びをすることもできます。いやだねー。でも楽しいよ!GMの方も楽しかったと言ってくれたのが救いです。よかった。


参考記事★

TRPGはASD児のQOLを高めるか?

https://core.ac.uk/download/pdf/33468606.pdf

スコットランドのソーシャルグループが自閉症の若者たちにロールプレイングゲームをさせた件(英文)

http://www.autismnetworkscotland.org.uk/social-group-employs-roleplaying-gaming/

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tsukimi03

最近ピンク色のオーラをまとい、ハッピーライフを満喫している。 一部のメンバーに「爆発しろ!」とか言われているが、むしろたまに突然爆弾を投げ込んでくる要注意人物である。 しばしば虫への愛が爆発しすぎる時がある。

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