現世でのテーマ「無能を知る」
私はこの世に生まれた。
幼少時に過保護に育てられたせいで、対人関係を砂場から学べずに過ごす。
同級生を無意識的に馬鹿にしていたので、やがていじめられることになる。
勉強は高校からできなくなり、落第寸前でビリケツで卒業した。
大学に入るまで二年間かかり、浪人時代は全く勉強せず偏差値43の底辺学科に潜り込む。
大学生時代はゲームセンターとファミコンに明け暮れ、全く勉強をしない日々。
アルバイトでは失敗しまくった。工場では弁当箱の入ったコンテナをひっくり返し、お菓子の総量を勘定するのを何度も間違え、
墓掃除のバイトでは、落ち葉を残して玉砂利をかき集める不器用ぶり。
大学四年の頃、落研の先輩に「お前、将来どうするのよ」と笑われている。
私が落語をすると場内が静まり返り、客の大半がトイレへと席を立った。
アルバイト経験から、サラリーマンは無理だと悟って漫画家の道を目指す。
ただ私はものすごく絵が下手だった。
それでも練習すればうまくなると思っていた。
大学時代は模写をしていたが、いつまでたっても絵が上達せず。漫画賞はかすりもしなかった。
大学四年になり就職することになる。
受けた会社はことごとく落ちまくった。
公務員試験は、理数系科目と英語が壊滅的にできず諦めた。
親戚のコネでとあるスーパーに就職した。
最初宅配で雇われたのだが、自動車教習所に通えず免許が取れないまま退学。
そこで魚屋にまわされたが、生来の不器用さが災いし、私の切った切り身は売りものにならず。
荒巻を二枚におろす時、包丁が背骨を突き抜けて裏側に行く。
イカの皮をむいたらイカがボロボロになる。
マグロの柵を解凍したら、やはりボロボロになった。
あまりにも使い物にならないので、鍋用の鮭の荒切り要員になった。
魚屋が辛いので配置転換を願い出て、家庭用品の担当に。
家電の接客をやらされたが、値引きの計算がまったくできず、お客様が来ると逃げ回る。
玩具と文具の担当をしていた時は、万引きしやすい店と有名になり、地方からも不良高校生が集まる店と化した。
ゲームコーナーを担当していたのだが、客の高校生が「お金が詰まった」というので、ゲーム基盤をいじってゲームをさせていた。
後で聞いたのだが、彼らは嘘をついていたのだ。
彼らは店の中で痰を吐いたり、ゲームコーナーの椅子に火をつけたり狼藉を繰り返す。
その場合叱られるのは担当者の私だった。
トラブルが多発するのでパワハラに遭い、自己都合退職させられた。
退職後、医療事務の学校に通ったが二度試験を受けて不合格。
その後、介護専門学校に通ったが実技が物凄く下手で、成績は下の方から数えた方が早かった。
介護の仕事に就いたが、入所者さんとトラブルを起こして首になる。前代未聞の職員だった。
その後ライターを目指したり、お笑い芸人になろうとしたが全てダメ。
才能がないのに、それになろうとしていた。
今はとある本業をしているが不安感がきつすぎて仕事にならない。
そして昨日、私の人生の意味を知った。
「今生で無能な人の人生を知りなさい」と。
私自身は全てダメで何もできない。
道を歩くアリを踏まないように歩くことぐらいしかできない。
それでも時々踏んでしまう。
それでいい。
私は死ぬまで無能を学んでいく。
「無能の人として生まれ死んでいった」
墓碑銘にはこう刻まれたい。
コメントありがとうございます。
プラトンさんも時期が来れば出られると思いますよ。
チャレンジしてるだけ偉いと思った。わいは布団から出られないよ…