世界は自分中心に回っているわけではない

小説家になろうに同じものを掲載しています。

 

友達の後ろをついて行く一人の少年。
自分は仲間だと思っている。
友人たちは彼を見かけると、目の前の羽虫に困惑したような顔をしている。
その表情は彼には届かず、行燈の灯のようなおぼろげな表情を友好のしるしと彼は見た。
彼は人の顔色が上手くつかめない。

「息吐暁
ってなんでついて来るんだろうな」
「あいつは足が遅いから走って巻こうぜ」
少年たちはいっせいに駆け出す。
暁も必死に追いかけるが足の回転が遅くて追いつけない。
みるみるうちに引き離されていく。友達たちの後ろ姿がキャラメル一粒の大きさになった。
暁は走るのを止めて、ただ眺めるだけだった。

「なんで友達は急に駆け出したんだろうか」
暁は途方に暮れる。理由は全く分からない。
「いじめの一種かな。いや、僕は大人しいし、いじめられることはしていない」

 彼は忘れている。友達が初めて家に来た時、昆虫図鑑を片手に三時間演説をしていたことを。
友達は外で遊びたかったのだが、暁が引き留めて離さなかった。
自分の興味のあることは友達も好きなはず。暁はそう確信していた。

 おまけに、彼は偉そうにこう語った。腕を組んで顎を突き出す。彼の口角は自然に下がって偉そうながま口がねちっこく開いた。
「君たちまだまだ勉強が足りないな。こんな基礎知識も知らないなんて」
暁は自分の発言が他人に対してどう響くのかをまったく気にしていなかった。いや、知らなかったのだろう。

その後彼は、大学を卒業して就職先をすぐにやめて、発達障害の自助会に参加したが、友達はできなかった。

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地淵育未(ベリー)

PDD。認知症の両親の介護中。小説やイラストを描いています。50代男。アイコンはスーパー美化というより別人。ロシア語、スペイン語、ハングルをちまちま勉強。趣味垢@37Zn8N4P4dGvct3 リンク先は発達障害家族の掲示板。個人もOKです。    

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